ベルリンならでは!シリアス歴史を辿るプラン

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ドイツやベルリンと聞いて思い浮かぶものといえば、ビールやソーセージでしょうか?ベルリンと限定すると、ベルリンの壁なども加わりますかね。

様々な顔を持つ街ベルリンですがその魅力の一つとしては、近い歴史に触れられることが挙げられると思います。

ヨーロッパの街というと、〇〇14世が建てた〜とか△△女王が〜などといった「古い歴史」に触れられるのも魅力ですが、ベルリンにはほんのつい最近に起きた歴史の跡がたくさん残っています。そして、それはみなさんご存知のようなベルリンの壁やナチスによる独裁政権など、決して明るいとは言えないものも多くあります。

しかし、そういったものを、時にアートに絡めたり時にそのままの形で残したりなどすることで様々な形で取り扱っている様子は非常にベルリンらしい気がします。

変に感傷的になりすぎることなく、そういった黒い歴史が今に残る様子をさらりと見て回るというのも「観光」のなせる技だと思いますので、今回はドイツのシリアスな歴史を観光として回れるスポットの幾つかをご紹介したいと思います。

ベルリンの壁

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まず、ベルリンの壁を見るにはどこへ行ったらいいのか?というところなのですが、ベルリンの街を歩いているといろんなところで壁の跡が残されていたり、壁の一部が展示されていたりします。

小さいものから大きいものまで様々ですが、きっと意識せずとも1度くらいは何かしら壁に関するものを目にすることになるかと思います。

「壁」と聞くと何となくずっと一直線に続いていたのかな〜?なんて漠然とイメージしがちですが、ベルリンの壁は円状に建てられていました。

ベルリン自体がドイツの中でも「東側」にあるのですが、ドイツの中でも重要な都市だったためその西側部分を”円状に囲んで”その内側を「西ドイツのベルリン(西ベルリン)」としていたんです。ですから、ベルリンの壁というのは決して西ドイツと東ドイツの境目に建っていたわけではないのです。

地理的なことを考えれば当たり前なのかもしれませんが、初めて知った時はちょっとびっくりしました。

そんな壁の長さは155km。そのうち1.3kmをベルリンの「イーストギャラリー」という場所で見ることができます。

イーストギャラリー

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最寄駅は「Warschauer Straße(ワルシャワーシュトラーセ)」か「Ostbahnhof(オストバーンホフ)」。この1駅間に壁が続いていますので、天気のいい日ならお散歩がてら歩いてみるといいでしょう。

こちらのブログで「Ostbahnhof(オストバーンホフ)」駅からイーストギャラリーヘの行き方がわかりやすく載せられています!

様々なアーティストによって描かれた絵は、有名なものもあればそうでないものもあり、中には日本をテーマにしたものなんかもあるんですよ。

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作品によってはたくさん落書きがされていたりしますし、ペインティングの質そのものの高さというより「ベルリンの壁に絵を描いてギャラリー」にしようということ自体が素敵だなと思います。

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そして壁に沿って歩いていると、「ほんの25年ほど前までこんな3mほどの壁で街が分断されていたんだな」と改めて感じ、とても不思議な気持ちになります。

途中、壁の断面が見れるポイントがあるのですが、その薄さにもびっくり。

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そして、イーストギャラリーの途中に、パスポートにスタンプを押してもらえるポイントがあります。

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通常EU圏内の移動だとパスポートのスタンプが押されないのですが、ここでは1ユーロ払うと特別なスタンプを押してもらえるんです。

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ただ、スタンプを押してもらえるだけと言えばそれまでなのですが(笑)良き思い出になるのと、なんとなくスタンプが増えてたくさん旅行した気分になれます!

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壁の横はシュプレー川が流れているので、天気の良い日は川辺も気持ちがいいです。

アートに絡めて壁沿いを歩くなら「イーストギャラリー」がオススメですが、よりベルリンの壁の歴史が知りたい場合には、「ベルリン・ウォール・メモリアル」という記念公園の方がいいでしょう。

こちらのブログで写真など紹介されています。

チェックポイントチャーリー

さて、ベルリンの壁で東西が分断されていた時代に、国境検閲所であった場所が今でも残っています。

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チェックポイントチャーリーと呼ばれるこの場所ですが、そもそもチャーリーとは「C」をわかりやすくしたものです。

チェックポイント「あ」を聞き取りやすくするようにチェックポイント「あめんぼ」と呼んでる感じです。他にもチェックポイントAはアルファー、Bはブラボーと呼ばれていたそうですよ!

ここには、大きな兵士の写真が飾られているのですが、もともとの東ベルリン側(ロシア側)を向く面にはアメリカ兵の写真、もともとの西ベルリン側(アメリカ側)にはロシア兵の写真となっています。

記念撮影としては、なかなかフォトジェニックは場所だと思うので、立ち寄ってみてもいいと思います。

チェックポイントというだけ合って本当に”ポイント”なので、所要時間はそれほどかかりません。街の中心部で駅からも近いので、近くを通りかかる時に寄ってみましょう。

シュタージ博物館

もし、壁や東ドイツの歴史に興味が持てたなら、シュタージ博物館という東ドイツの「秘密警察」に関する博物館に行ってみるのもいいかもしれません。

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当時の建物がそのまま残されており、その中に秘密警察に関する資料がたくさん展示されています。

実は夫がスパイだったとか(妻は知らないで結婚生活を送っていた)なんて話に関する資料とか、夫婦でお互いスパイで密告し合っていたとか、西のスパイでもあり東のスパイでもあったなんていう人もいたりして、なんだかびっくりです。

会議室には「東っぽい」家具が並んでいます。

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非常に興味深い博物館ではありますが、とにかく文章が多い!!!!
英語とドイツ語で書かれていますが、全部読んでいたら途方も無い時間がかかりそうです。

資料を読んで見て回ったら面白いけれど、読まないで回ったら全く面白くない場所でしょう。
(私も途中で力尽きて、おそらく半分も読めてないです)
英語やドイツ語の文章を読むのが苦でなければ、是非行って欲しい博物館です。

また、ここは刑務所では無いので、拷問に関するものなど身の毛のよだつような展示はありません。

国民の1割が秘密警察の何らかの関係者だったという私たちにはなかなか想像しづらい事実をたくさんの資料で感じさせてくれる施設ですが、秘密警察の拷問などに興味がある方はここシュタージ博物館より別の場所にある「シュタージ刑務所」の方がいいかもしれません。
(私は、ちょっと怖くて行けていないのですが・・・)

シュタージには興味があるけど、映画「善き人のためのソナタ」はまだ見ていないという人は、是非先にそちらをご覧ください。

非常にいい映画ですし、シュタージについてよくわかります。

ホロコースト記念碑

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ドイツ・ベルリンの歴史スポットといえば、ホロコースト記念碑もその一つでしょう。

ナチスの独裁政権当時、ヨーロッパで虐殺されたユダヤ人のための記念碑でコンクリート製の石碑がなんと2711基も並んでいます。

歴史にそれほど興味のない私のような人間としては、ここへ行く前は、なんとなく壁のこともナチスのことも「戦争中」という一くくりになっていたのですが(本当にすみません苦笑。)
ベルリンの壁がほんの25年前のことであるのに対し、虐殺は70年以上前に行われていたこと。

それでも、まだ100年も経っていないんだと思うと、まだまだ近い歴史ですよね。

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こちらの記念碑はベルリンの観光スポットであるブランデンブルグ門や、ショッピング街ポツダマープラッツからも歩けるので観光プランに非常に組み込みやすいと思います。

何時間もかけて歩いたり、歴史について勉強したりしなくてもただ歩くだけでも、価値のある場所だと思います。

私としては、何より、街のこんな中心地に黒い歴史の記念碑をこんな大々的に作る歴史との対峙の仕方が非常に興味深いと感じました。

是非観光プランに組み入れてみてください。

ユダヤ博物館

ナチス政権下で、迫害を受けていたユダヤ人ですが、そのユダヤ人の歴史について展示されている博物館です。

ちなみに先に紹介したチェックポイントチャーリーからも徒歩10分くらいです。
小道を歩いていると、こんな感じで見えてきます。

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入り口はこんな感じ。

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こちらの博物館は、非常に感覚に訴える博物館です。

先に紹介したシュタージュ博物館が、たくさんの読む資料で歴史を伝えているのに対し、こちらは館内のデザイン自体が非常にコンセプチュアルなものに仕上がっています。

例えば、床がわざと斜めになっているのは「ユダヤ人が辿ってきた不安定な歴史」を感覚として体験するためとか、真っ暗な部屋に上から一筋の光の差す展示は「暗い歴史とそこにユダヤ人が見出した希望」を表現しているといった感じです。

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そのため、音声ガイドの最初何分か(結構長く)は、その施設自体のコンセプトについて語られています(日本語あり)。

「この場所はこういうコンセプトでデザインされています」「ここではこういう気持ちを感じてください」といったような説明です。

これは好き好きだと思いますが、個人的にはまず音声ガイドを聞かないで建物を回ってそのコンセプトを説明なしに感じられた方が価値があるのではと・・・

上階部のユダヤ人の歴史に関する展示では、ちゃんとそのもの自体に関する説明をしてくれているので、こちらは音声ガイドを聞きながらの方がより理解できていいかと思います。

尚、中にはが広く気持ちがいいので、天気が良く暖かい日なら、博物館を見た後ちょっと中庭でのんびりするのもオススメです。

ザクセンハウゼン強制収容所

ユダヤ人の迫害と聞いて思い浮かぶのは、「収容所」。

人体実験やガス室での虐殺なが行われていた収容所の一つ、ザクセンハウゼン強制収容所へはベルリンから普通チケット(ABCチケット)で行くことができます。

ABCチケットというベルリンのCゾーンまで行けるチケットは片道3.30ユーロです。(2016年3月現在)

最寄駅は「Oranienburg(オラニエンブルグ)」。こちらのブログに、オラニエンブルグ駅からの行き方が書かれています。

中心からは離れますが、こちらもベルリンです。

入り口の門。

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「ARBEIT MACHT FREI」働けば自由になれる

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歴史を知った上で見ると、非常に重たい気持ちになります。

日本語のガイドツアーはありませんが、受付で日本語の案内を買うことができます(1ユーロ)。地図と各施設の名称や簡単な説明が書かれているので、一つ一つ見ながら回ります。

宿舎の様子。

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広大な敷地の真ん中に大きな記念碑が建てられています。

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私が訪れた日は非常に気持ち良く晴れた日で風もあり、それにより空気の淀んだ感じは軽減されていましたが、人体実験が行われていたであろう部屋や、銃殺場など、なんとも負の空気が立ち込める場所でした。

銃殺場。

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観光地化はされていますが、それでもやはり施設がそのまま残っているだけあって空気の重たい場所です。

ここまでに紹介した他のスポットとは違うどんよりとした感じが漂います。ただ、人類の歴史の一つとして、ドイツ人だけではなくみんなで受け止めていかねばならない出来事の一つでもあると思いますので、行く価値のある場所でしょう、

有名なポーランドのアウシュビッツ強制収容所までは遠くてなかなか行けないという場合にも、こちらのザクセンハウゼン強制収容所でしたらベルリン中心部から1時間ちょっとで行けますので、こう言った歴史の一部を一目見ておきたいという方は是非行ってみてください。

こちらのブログに中の様子がより詳細に記されています。

今回は、ドイツのシリアスな歴史をめぐる観光スポットを幾つかご紹介しました。

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